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Vol. 36

日本リーグ開幕!前半戦、注目プレーの心境に迫る

緊張のデビュー戦!
地元熊本出身、前田選手の初セーブは7mスロー

関西の名門、大阪体育大学を卒業し、期待の地元選手として熊本へ舞い戻ってきた前田選手。
日本リーグデビューは10月21日初戦のザ・テラスホテルズ戦でした。
休みの日や空き時間もハンドボールに熱中する彼女のデビュー戦の心境はいかに!?

鮮やかな初セーブの手ごたえは?

物凄い快感でした!オムロンのGKとして挑む初めての7mスロー。シュートを打つのは大学時代の同級生でした。「これは負けられない!」と思い内心ドキドキでしたが、練習してきた通り、どっしりと構えて我慢。見慣れたフォームからシュートが放たれた瞬間「読めた!」と思い私は迷わずゴール隅へ手を伸ばしました。
片手で弾いた感触は今でも思い出せるほどの快感でした。セーブした直後、自然と今までにないくらい思い切りガッツポーズしていました!!

  • 左手1本で気迫勝ちしたGK前田選手
    左手1本で気迫勝ちしたGK前田選手

初の日本リーグ戦。試合前はどんな心境だった?

自分のプレーをコートで表現できるか不安で緊張していましたが、「迷わず思い切り、自信をもってやる。」という事を意識して試合に臨みました。
特に、サイドシュートに対しては、試合前から映像を見てイメージトレーニングをしていたので、自信を持ってキーピングすることができました。

  • 初セーブに渾身のガッツポーズ!
    初セーブに渾身のガッツポーズ!

試合を通して感じたこと・今後の抱負は?

日本リーグのシュートは1本1本が重く、簡単に止めることのできるシュートが無いと身に染みて感じました。
日頃の練習からしっかりと準備して、試合の出場時間をどんどん増やし、チームの勝利に貢献できるGKを目指します。

接戦の勝負所で魅せたスカイプレー!

ラスト1分まで大接戦となったブラックブルズ戦。チームを勝利へと引き寄せたのはこちらの2人でした!

  • 左:ジョン・ジイン選手 右:尾﨑佳奈選手
    左:ジョン・ジイン選手 右:尾﨑佳奈選手

後半の勝負所、緊迫した状況でなぜスカイプレーを?

尾﨑選手:
後半のラスト10分で5点差ありましたが、退場者が出て以降、得点ができなくなり、相手に追い上げられ同点になった場面でした。このプレーの前の攻撃で、水野監督がタイムアウトを取り戦術を伝えてくれましたが、焦っていたこともあって、失敗に終わっていました。
そのため、ここで点を取らなければ負けるという試合展開の中で次オフェンスが停滞したらコンビプレーをしようとジインに伝え、パスを出してくれたのがあのプレーです。

ジイン選手:
尾﨑選手が提案してくれた時、一瞬悩みました。前回の試合ではパスを失敗し相手ボールにしてしまったので。

尾﨑選手:
ジインのスカイプレーのパスは今まで失敗したことなかったのに、初めて失敗してチームメイトも驚いていました。

ジイン選手:
ただ、スカイプレーはディフェンスが予測しづらいコンビプレー。尾﨑選手の言う通り、点を取らなければならない状況で、相手も緊張している場面だからこそ通用すると思いパスを出すことを決めました。

尾﨑選手:
ジイン選手は個人能力が高い選手です。その脅威に相手DFも気を取られるのでコンビプレーが成功する確率は高いのではないかなと思います。

  • 尾﨑佳奈選手

接戦の試合終盤でのスカイプレー、どんな心理状況なのでしょうか?

尾﨑選手:
この試合の終盤、実は焦っていました。

ジイン選手:
たしかに。途中までリードしていたけど、追い付かれた接戦の状況でチームの流れもよくなかったです。

尾﨑選手:
私がこの状況で頭に残っていたのは、社会人選手権の北國銀行戦。
相手チームは個人の力で打開して流れを自ら作り上げていましたが、逆に私たちはシュートを狙わずミスが続き、負けてしまったことが頭に残っていました。後半のリードしている状況で相手のエースの1人が一気に連続得点し、得点への気迫に押され、試合の流れを持っていかれました。
勝つチームは接戦の場面でも自分が決めるという強い意志をもって攻めて得点に繋げて勝つんだなとその試合で痛感しました。
その試合のことが頭をよぎり、得点できる、できないに関わらず、打ちにいかないと決まる可能性すら出てこないと思い、自分がシュートを打つ決心をしました。あの場面で外していたらと考えると怖いものがありますが、その大事なシュートへの責任はわたしが背負おうという気持ちでスカイをする決断をしました。

ジイン選手:
同点の場面では、1人1人のプレーがとても重要です。成功するか不安な気持ちもありましたが、チャレンジすることが大切ですし、それが成長に繋がると思い、プレーしました。

尾﨑選手:
その気持ちがしっかりこもった最高のパスでした。
ウィングプレーヤーはフィニッシャーになることが多く、自分でシュートまでの流れを作れないためシュートチャンスが生まれにくいポジションです。だからこそこの接戦の場面では、私が要求することが必要だと思いましたし、結果に繋がったのでよかったです。

  • ジョン・ジイン選手

長年オムロンを支えるウィングプレーヤーの尾﨑選手。緊迫した試合で何を意識している?

尾﨑選手:
常に冷静でいることです。今年は特に試合経験の少ない若い選手が多いので、冷静に全体の状況が見えるポジションのウィングプレーヤーとして、司令塔がゲームメイクしやすいよう助けになる声かけが出来たらと考えながらプレーしています。
今後の試合も自分にできることを徹底してチームを支えていけたらと思います。

  • 尾﨑佳奈選手

驚異の阻止率64%!?大活躍のGK下屋選手

年内ラストのホーム戦となる、八代トヨオカ地建アリーナ(熊本県)で行われたHC名古屋戦では、GK下屋奏香選手が躍動!
この試合、阻止率64%という驚異の数字をたたき出しました。オムロンのゴールを守る若き守護神の心境に迫ります。

  • 勝負所のシュートを鉄壁のセービングで防ぎ続けた下屋選手
    勝負所のシュートを鉄壁のセービングで防ぎ続けた下屋選手

阻止率64%に対する率直な感想をお聞かせください!

数字を聞いたときは驚きました。
普段から他のチームのGKや自分自身のセーブ率についてスコアを確認しているのですが、1試合を通して出場していると中々出せない数字だと思います。
ですが、この試合、私1人が良かったのではなくDFがハードワークしていて本当にチームとしてよく守れていました。そのため、ほとんどのシュートがDFとの連携が取れていて、 シュートコースが限定され、予測しやすくこのセーブ率を出せたことに繋がったのかと思います。

☆ちなみに下屋選手は現在、日本リーグトップの阻止率です!(2023年12月時点)
https://japanhandballleague.jp/rankings/leaders/?g=W

この試合に対して何か意識したこと、準備したことはあるのでしょうか。

対戦相手であるHC名古屋の特徴は、ロングシューターが多いことです。そのため、試合までに多くの映像をみて準備しました。個人の特徴を分析して、どの選手のシュートなら自分が勝負しやすいのかを考え、練習のときからDFへ要求し、常に試合をイメージして練習していました。

  • 下屋選手

前の試合のイズミメイプルレッズ戦ではリーグ戦初の黒星。悔しい思いがありましたね。

個人としても課題が多く、何もできなかったという気持ちが強く残っていました。
本当に悔しくて正直落ち込みました。ですが、その結果も私の実力ですし、すぐに次戦が控えているので落ち込んでいる時間はないと気持ちを切り替えました。
オムロンのゴールを守っている以上、結果を出さなければいけないし、チームが勝つには自分が1点でも多く止める必要があります。試合中はとにかく絶対止めるという強い気持ちと、後ろからチームメイトを鼓舞して私がチームを勝たせてやる!という強い意思をもってHC名古屋戦に臨みました。

昨シーズン引退されたオムロンの守護神、宮川選手から受け継いだことへの思いはありますか?

絶対的守護神が抜けた穴は大きいですし、チームにとっても不安要素であったとは思います。ただ、それは周りが感じる評価や意見。オムロンとしてコートに立てるのは今いるメンバーだけです。宮川さんの引退後は私がオムロンのゴールを守ってやる!と思い続けてプレーしてきました。
正直、取れないシュートはありますし、うまくいかない時もまだまだあります。
しかし、自分が任されている時間はとにかくポジティブに次!次!と切り替えてDFとよく会話して開幕までやってきました。

  • 下屋選手

オムロンのGKは3人。競争の毎日なのでしょうか。

もちろん、まずは自チームのGKの中で競争しなければ試合に出場できないですし、安泰などありません!練習でのシュート1本1本が、シューターはもちろん他のGKとも常に勝負です。
そして日々の練習では、他のGKから学ぶこともあります。他の選手を見ながらそのキーピングやってみたい!と思ったらすぐ実践して練習します。
そうして常に危機感を持ち、学びながら練習してきたことが成長に繋がっていると思います。

リーグ戦はまだまだ続きます。今後への意気込みをお聞かせください。

私は、他のGKよりも身長が小さい分、DFとのコンビネーション・事前の予測・いい位置取り・爆発力が重要だと思っています。
自分自身、伸び代がたくさんあると思っているので、現状に満足せず日々成長し、さらにレベルアップした姿を皆さまに見てもらえるよう頑張ります。
残り半年、プレーオフまで突き進んでいけるように、常に後ろからチームを鼓舞して「勝てるチーム」を作っていけるよう、誰よりも声を出して、笑顔で戦い続けます!

  • 下屋選手